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契約とは・・・

 ブログを見て頂きありがとうございます。役に立つ不動産屋2回目です。前回は引越しシーズンにおけるお客様の行動について書きました。参考になりましたか?今回は少し難しい法律についてです。特に個人が生活するうえで欠かせない民法の知識が、不動産関連の取引・契約に大きく関係していることの重要性を分かってもらえればと思っています。

 みなさん、不動産屋と言えばどんなイメージをお持ちですか?さまざまなイメージを思い浮かべると思います。テレビCM等で大々的に広告を出す大手不動産会社?そのイメージは大都会のみです。鹿児島県内では、鹿児島市を除くと個人不動産屋が大半を占めるのではないでしょうか。個人というのは、代表者兼従業員の形態で営業しています。私もそのうちの一人。もちろん、法人(会社組織)もあります。

 不動産屋は何を生業にして営業しているのでしょうか?例えば、アナタが転勤で引越しをせざるを得なくなったと仮定しましょう。まずは転勤先でアパート等の引越先を確保しなければならなくなります。そこで不動産屋を探して、自分が希望する物件(アパートor一戸建て/広さ/家賃等)を伝えて実際に内覧(見学)。条件に合えば、賃貸借契約を締結します。住む場所が決まり、引越しが終わると新生活がスタートします。

 法人・個人を問わず不動産屋には、宅地建物取引士という国家資格を持つ従業員(個人営業の場合、代表者が宅建取引士を兼ねるケースが多い)が必ず在籍しています。事務所に宅建取引士を証明する証書を掲げるか、従業員等が宅建取引士証を携帯しなければなりません。不動産屋(宅建業者)は不動産取引を通じて、「国民の基本的な財産である宅地建物の円滑な流通に寄与、貢献する」という社会的使命と責務を負っているのです。

 宅地建物取引は、日々の生活の中で行われている他の取引に比べて取引価格が高額で多額の資金を必要とします。また宅地建物・取引内容・法令上の制限等に関して専門的知識と経験が必須。お客様は日頃から宅地建物に関しての専門的知識や経験が少ないので、取引(契約)に不安を抱えることになります。不安を抱えているお客様に対して、宅建業者は常に誠実かつ適切な対応を必要とし、不動産及び関係法令に関する高い知識を身につけていなければなりません。

 例をアパートの賃貸借契約にしてみましょう。宅建業者は物件を所有する大家(貸主)から委託を受けて、借主を募集します。車を運転していると、「アパート・3LDKあり/〇〇不動産」の看板等をよく見かけますね。アレです。つまり、不動産屋は貸主と借主の橋渡し役をしているというわけです。この橋渡し役を勝手に務めることはできません。宅建業者が有する専門的知識により適正な取引を行うため宅地建物取引業法(宅建業法)という法律で規律されているのです。

 さて、アナタは気に入った物件が見つかりました。この後の大まかな流れは以下の通り。①入居申込(ひな型・写真)→②契約当事者の確認・入居審査→③重要事項説明→④賃貸借契約締結→⑤鍵の引渡という手順を踏みます。順番に関連する法令等で解説してみます。

 ①入居申込には法的な根拠はありません。アナタの「入居したい」という意思表示を書面にするものです。業者は個人情報保護の観点からの説明を必要とし、貸主には借主予定者がいることを報告します②契約当事者の確認とは本人確認のことです。代理申込のケースも考えられるので、業者にとって重要な確認作業です。また同時に入居審査も行われます。

 ③重要事項説明は宅建業法で業者に課せられた法的義務で、借主予定者は必ず宅建取引士から物件の内容等について説明を受けなければなりません。説明後、借主予定者は書面に署名押印します。ケースによっては「本当に合意(確認)したのか」が厳格に問われることもあります④賃貸借契約締結は、文字通り貸主・借主双方が物件につき宅建業者とともに契約書の内容を確認(合意)します。代金支払い等の金銭的な取引も同時に行うことも多いです⑤鍵の引渡しを終えると、契約自体は終わります。

 では、宅建業者は取引を行うことにつきどのような関連法律・法令に規律されているのでしょうか?民法・宅建業法・借地借家法が主な法律と言えます。契約について誤解している方もおられると推定されます。例えば、AがBに対して「カメラを1万で売るから買ってくれませんか?」と口頭で言ったとします。Aの口頭の問いにBが「1万なら買います」と意思表示しました。これで契約は成立するのです。適用される法律は民法です。個人対個人では、このような契約が成立します。契約が成立すると、お互いがその意思表示に従い義務を履行しなけれなりません。後でBが「イヤ、そんなことは言っていない」等と意思表示を証明することは、法的には別次元の行為を必要とするのです。

  宅建業者は宅地建物を通して、貸主(売主)・借主(買主)双方の意思表示を法律・法令に基づいて成立させる宅地建物取引のプロフェッショナルなのです。その取引を成立させた報酬が仲介手数料という形で具現化されます。報酬の上限等は法律で規定されているのは当然です。

 結論。宅建業者は宅地建物取引に精通していて、なおかつ貸主(売主)・借主(買主)双方が円滑な市民生活を送れるよう不動産取引(売買・賃貸借契約等)を提供し、社会的な責務を自覚して誠実に業務を遂行しなければなりません。もし、アナタが契約に立ち会う時、不動産屋(宅建業者)に質問できる機会があれば、「この契約書はどのような法律を根拠にしてますか?」と聞いても構わないのです。不動産屋は面食らうかもしれませんね。そんな質問をするお客様は滅多にいないので・・・・。( ´艸`) 次回は「宅建業者におけるコンプライアンス(法令遵守)」です。お楽しみに!!

               元ブンヤの不動産屋