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行政書士試験独学⑥「行政手続法・行政不服審査法」

 行政書士試験独学6回目。今年(2021年度)本番まで半年を切った。気合を入れて勉強しよう。今回は「行政手続法(行手法)・行政不服審査法(行審法)」。行政法を学ぶ段階から言うと、第二段階に入ったと言える。まず、行手法と行審法は条文からの出題が90%を超える。条文素読と理解が合格への一番の近道である

 基本書(L書)の項目に従い、行手法勉強のポイントを項目ごとに紹介する。①総説・・・目的と適用除外をしっかりと理解する②適用除外・・・地方自治体の機関における適用除外が最頻出問題③申請前の手続・・・審査基準と標準処理期間につき、不利益処分の処分基準・標準処理期間との混同がひっかけ問題として頻出④申請後の手続⑴・・・申請に対する審査・応答(義務あり)⑤申請後の手続⑵・・・拒否処分理由の提示(⇔理由の提示をしなくてもよい処分は何かを調べる)+(書面が必要な場合とは?)⑥不利益処分・・・処分基準と審査基準の比較(→申請拒否処分時の理由と不利益処分時の理由の提示の比較)⑦聴聞手続⑴・・・区分(聴聞と弁明の違い)+(聴聞における文書等閲覧請求権が認められている→どんな資格を持つ者がいつからいつまで閲覧を請求できるのか?)⑧聴聞手続⑵・・・審理の方式/審理の公開/調書及び報告書/再開/聴聞を経てされる不利益処分の決定/審理請求の制限⑨弁明・・・弁明はどんな点で聴聞と違う?聴聞に準用されているのは二つのみ(何と何?)⑩行政指導手続・・・意義と方式のみ(最重要判例あり)⑪行政指導手続・届出手続等・・・行政指導の中止等の求め/処分等の求め/届出とは?⑫命令等を定める手続・・・一般原則/意見公募手続/意見公募手続の特例/意見公募手続の周知等/提出意見の考慮

 次に行審法。行審法は2016年4月に改正行審法が施行され、52年ぶりの全面改正で制度が一新された。なぜ、一新されたかは勉強すればわかるので、ここでは割愛する。①総説・・・行審法の行政不服申立てと行訴法の訴訟要件の比較②不服申立ての種類・・・審査請求/再調査の請求/再審査請求③行審法の適用除外・・・一般概括主義の採用(⇔適用除外は?)④不服申立ての要件・・・不服申立て資格と適格の違い(重要判例あり)/不服申立て期間(⇔行訴法では出訴期間)⑤不服申立ての審理手続⑴・・・審査請求(図等で審査請求した後の流れを把握)⑥不服申立ての審理手続⑵・・・総説(総代と代理人の違い)/審理の方法(審理員の氏名・弁明書の提出・反論書等の提出)⑦不服申立ての審理手続⑶・・・口頭意見陳述における行政庁への質問/提出書類等の閲覧等が認められる⑧執行停止制度・・・執行不停止の原則/処分についての審査請求に係る執行停止(裁量的執行停止と義務的執行停止の比較)/執行停止の取消し⑨裁決・・・処分についての審査請求の却下・棄却・認容/不作為のついての審査請求の裁決/方式/効力⑩教示制度・情報の提示・公表・・・種類/教示の不備等に対する救済措置/情報提供・公表。以上が主だった勉強ポイント。

 これまで述べてきたように基本書3回通読。ororボールペン/ピンクorororor蛍光ペンを使い分け、(出題年―問―肢)を基本書⇔過去問⇔判例六法に書き込む。自分なりの方程式を確立させるが、あまりに急いでこの作業を詰め込むと、後で「もうこれは理解した」と思い込んで、知識の深まりを浅くしてしまうので、ほどほどに進めるとよい。例えば、過去問を一周したら、確認作業のために行う。

 行手法と行審法はズバリ、条文をいかに理解しているかに絞られる。私は行政法3法(行手法・行審法・行訴法)を一気に素読していた。最初のうちは比較やリンクが頭の中であやふやで整理されておらず、ただただ素読を繰り返していた。ふと、ある時期に「あ~れ、この条文は行審法の〇条に似てるなぁ」「確か、行訴法ではこうだったはず」等と思い返せるようになり、素読中他の比較条文を見返すように心がけた。加えて、その都度参照(cf・〇〇法☐条)と判例六法に記載。横断的な比較を試みようになる。

 過去問は10回以上繰り返すことを勧める。私はすぐ忘れる性格だったので、15回以上は解いた。回数をこなせばイイというものではないが、本番直前に過去問を見返した時、「私はこんなにやったんだ」と妙な自信が湧く。自信は慢心に代わりやすいので、謙虚に受け止め自分を信じる。判例六法は手垢がつくぐらい、インデックス(見出し用シール)が破れるぐらい頁をめくった。やはり、そのぐらい頁をめくらないと合格は見えてこない。

 専門書(サクハシ本)について述べる。サクハシ本は10回以上の通読を勧める。私はシンプルに考えたかったので、基本書⇔過去問⇔判例六法のサイクルにはサクハシ本の参照は記入しなかった。逆にサクハシ本には、(出題年―問―肢)、(判例六法P〇〇⑴)、重要な解説等を書き込めるだけ書き込んだ。理由は理解できていない点や分からないことは、最後にサクハシ本に全部網羅できるように仕上げていきたかったから。サクハシ本内で重なる解説や条文、判例があればcf・P〇と記入。これがサクハシ本における一番重要な作業である。判例についてだが、私はなるべく判例名をつけるようにしたなぜなら基本書や判例六法、専門書で呼び名が違うケースに遭遇するので、自分なりに覚えやすい名で統一した(例・「エビス食品事件」【何の事件がさっぱり頭に入ってこない・イメージが湧かない。湧くイメージはお菓子やカレールウ】=「独禁法に基づく報告・措置要求における公取委の決定の処分性否定」【なが~い判例名にしたが、なるほど処分性否定の判例ね・長いけど頭にス~と入る】)

 最後に問題の解き方と脳のサイクル。まず条文か→判例か→それ以外かが→問われている問題の答えはどこにあるのか?基本書→過去問→判例六法→サクハシ本→判例集の順番でたどる。以上が行手法・行審法の主要な勉強論点と問題の解き方のポイント。他の基本書では、行政法の内容を「行政組織法」「行政作用法」「行政救済法」と分けている場合もあるが、行政書士試験ではそんな区別の出題はない。だから行手法は事前手続、行審法は不服申立てを規律する法律だと簡単に分けて考える。細かい部分は勉強すれば、理解できる。この2法を勉強して予想問題集等を解いたら、得点が上がっていく過程が如実になる。後は、過信せず着実に知識の積み上げを行うこと。最後に記述問題で行手法が数年に一回のペースで出題される(私が合格した年も行手法だった)。行審法は私が合格するまで出題はない。しかし、改正行審法になったので、出題される可能性はゼロではない。

 次回は行政訴訟法と国家賠償法。行訴法は行政法分野における二大巨頭(もう一つは行政法総論)のひとつ。国賠法は判例のみ。ここまで読んでもらえたら、最後まで読んでほしい。現在地はやっと山の5号目あたりかな。息を整え、装具を再点検して〝合格〟という頂上を目指そう!!

                             元ブンヤの行政書士