行政書士試験独学11回目。ブログ読者の皆さんには大変申し訳なく、特にこの行政書士試験独学を読んでいる独学者は、次回以降が更新されず〝なんだ、アイツは最後までしないのか〟と突っ込みたくなると思います。残りは「民法債権」「民法親族・相続」「会社法その他」「本番直前対策」の4回を予定していました。言い訳ですが、ブログ原稿を書く時間と余裕がなく、10回以降は更新できませんでした。本当に申し訳ありません。本番(今年は11月14日実施予定)まで1カ月を切ったこの段階で、「緊急助言!!本番直前を前向き思考で挑む」と題して、本番までの勉強法や心構え・体調管理等を私自身の体験を伝え、受験者が少しでも心穏やかに本番を迎えられるように助言します。
本番まで1カ月を切ると、受験生の皆さんは不安になると思います。私もでした。「あれ?行政法のあの項目をよく理解していない」「民法の法改正であの条文は、新設されていた。どんな内容だったけ?」「一般知識の政治は頭の中に入っているが、経済・社会はまだまだ」等々。しなければならないこと、理解すること、繰り返しすることが山積されていると、混乱と焦りが同時進行で訪れます。まず、これから私がお伝えする内容は独学の勉強法も千差万別あってイイのですが、勉強時間は1,000時間必須を前提にします。1,000時間未満の独学者の方は、差し引きマイナスが生じるものと考えてください。なぜなら、1,000時間は私がブログで伝えてきた勉強法を実践して到達した勉強時間の最低ラインなのです。①勉強法②心構え③体調管理等④本番前日当日・本番寸前までの過ごし方の順番で紹介します。
①勉強法。まず、これまで大事に守ってきたルーティンを前日まで変えない。社会人なら前日は休みをもらい体調を整えることを優先します。前日休みだからと、10時間も勉強しては×。前日は基本書をしっかり声に出して読み込む程度で十分です。気になった箇所の調べものぐらいなら、判例六法・専門書を読み返しましょう。そうすると、これまで自分が勉強してきた足跡が現れるのです(例:出題頻度/注意書き/記述対策の書込み等)。〝あぁ、オレ(私)はこんなに頑張ってきたんだなぁ〟と実感と自信が妙に湧きます。前述の1,000時間未満の勉強時間しかこなさなかった独学者は、この妙な自信と実感は体感できません。体感しても、気持ちのどこかに不安の種が残るものです。
具体的に勉強法を教えます。【各科目で新しいものに手を出さない(特に予想問題集)】【手を広げない】【自分は理解していると思っている項目でも繰り返す】の三つ。第一に【予想問題集に手を出さない】。予想問題集はアテにならないことを理解する。よくポップ広告で「昨年、当社はこの問題を当てました」「出題的中率がすごい!!」「出た!?記述がズバリ」な~んてのを見たことありませんか?あれは宣伝です。しかし、ズバリなんてのは、ほんの数問。まぁ、択一はちょっとでもかすれば(野球でいうファールチップ)、「出ました!!」と広告できる。記述にいたってはヒドイ。「記述を当てました」。よくよく詳しく読んでみると、その出題は自社の夏期講習での模擬試験で出たものなのです。つまり、模擬試験を受けた人しか体験できない。一般ピープル受験者・独学者又は他社の受講生には、な~んの効果のない宣伝にしか映らない。それに釣られて、その予想問題集を購入するのは愚の骨頂です。予想問題集を作成している会社から文句がきそうです。( ´艸`) 受けて立つ。
それよりも、記述なら私の実践してきたやり方で、問題・答えをつづったファイルを見直す方法がより効果的です。解答を隠し、問題を黙読して解答を頭の中で考えまとめる。正誤を確かめる。これだって、十分復習になります。現段階で、だれも記述の3問をズバリ的中できる人なんていません。この1カ月でファイルを見直して、問題も答えも丸ごと記憶すればよいのです。当然ですが、自分で問題作成・解答作成は前日まで続けます。記述に関しては、何の不安もなくなります。択一だって同じです。
第二に【手を広げない】。受験生の皆さんは、肉体的にも精神的にもこの1年間、本番に備えてさまざまなものを犠牲にして、もしくは家族の協力を得ながら行政書士試験合格を目指して頑張ってこられたと想像します。その努力を無駄にしないためにも、手を広げないことが重要です。具体的に手を広げないとは、どういうことでしょうか?よくネット書込みや予備校等で紹介されます。
私なりの見解を述べます。【手を広げない】は【自分の理解度を確かめる作業である】だと思います。例えば、基本書の憲法で「表現の自由を根拠に主張される権利」の最重要な判例は、「博多駅事件」「石井記者事件」「西山記者事件」「NHK記者取材源秘匿事件」等が挙げられます。判旨や解説は説明不要。個々の線引きは、報道の自由と取材の自由の違いをどれほど理解しているかです。手を広げないは、このどれほど理解しているかをどれほど掘り下げるかに置き換える作業なのです。どれほど掘り下げるかは、基本書の書込み密度によるので、書き込みが多ければ多いほど重要度は増す。そう考えれば、書き込みの薄い頁はスッ飛ばす勇気も本番直前期は必要と言えます。各科目での差異は生じません。なぜなら、自分が勉強してきた足跡がそのまま基本書や過去問、判例六法に現れるのですから・・・。本番直前で、自分の物差しが明確になります。自信をもって、【手を広げない】ことを実践してください。
第三に【自分が理解していると思っている項目でも繰り返す】。1カ月前に「よし、この項目は完全に覚えた。条文・過去問・判例等、どんな角度で出題されても対処できる」と思っても、直前まで何回も繰り返す×繰り返す。それは思い込みの裏返しです。なぜなら、問題作成者は法律のプロ中のプロ。条文の裏表、過去問のリニューアル方法、判例変更の趣旨、問題作成におけるノウハウを10数年蓄積しています。ここ数年で法律を学んだ人生の若造が、対等に立ち向かえる敵ではないのです。そこを冷静に判断して、【自分が理解していると思っている項目でも繰り返す】ことが合格への近道です。これまでも数回のブログで、会社法は切り捨てと断言しています。しかし、基本書の読み返し・過去問の繰り返しは他の分野と同様に繰り返します。深くは掘り下げません。第二で展開した理論から「内容の薄い頁」だからです。以上が勉強法です。ぜひ、参考にしてください。
次に「心構え」です。私は日誌をつけるようにしていて、これまでの自分が行ってきた行動を見返すようにしました。起床時間、仕事の時間、勉強時間(内容も)、遊び時間(さぼりと休日)、就寝時間、読んだ書籍(タイトル・内容)等です。あの暑い夏、図書館で勉強したこと、休日にあまりにも思考停止がヒドイので散歩に出かけて、公園のベンチで六法条文を素読したこと(約1時間)、仕事の休憩時間も基本書とにらめっこしたこと・・・・。日誌を見返すと、そのときの感情と勉強内容が一致して、「あぁ、あの時は行政法総論のあの項目と格闘していたなぁ」なんて記憶がよみがえるものです。ここが重要。風景感情と勉強感情が一致すると、人間は記憶として忘れることがなくなります。例えば、こんな経験はありませんか?幼いころの遠い遠い記憶なのに、鮮明に脳内に残っていて映像のようにその場面や言葉を思い返したり、口にできることが・・・・。これと同じ現象です。
つまり、「心構え」とは自分の勉強の日々を思い出す作業を行い、穏やかに本番を迎える前向きな思考を養い蓄えることです。ここでも、1,000時間が壁になります。独学者は1,000時間を超えないと、この「心構え」作業がいろんな意味で困難になります。だって、勉強不足なら不安で不安でしょうがない。当たり前です。心穏やかにな~んて心境には絶対なりません(器がデカい人物なら別。私はそんなに器は大きくありません)。
次に「体調管理等」です。前日は持参するものを確認して早めの就寝することを勧めます。早めの就寝に限る。当然です。持参物の中で、「勉強した書籍で何をもっていけばいいのか?」。悩みますよね。私は基本書の一択。ブログの初回をもう一度読んでください。基本書を開けば、すべて分かるように情報が一元化されていると書いてあるです。余計なものを持参すると、荷物が重くなるし、おそらく他の参考書等は役に立たない。だって、開く時間もない。本番寸前まで、私は基本書を繰り返し繰り返し見返していました。実際、寸前で見返した項目が本番で出たこともありました・・・・。
以下は私の体験(合格年のみ)です。試験会場に入るとき、受験予備校の職員らが「ここが重要」「今年の記述はこれが目玉!!」「速報→試験後〇カ月以内に申し込めば受講料〇割安」等のチラシを配ります。受け取ってもいいですが、私は受け取った後、内容を確認したら会場内のゴミ箱に捨てました。寸前に余計な知識等はいらないからです。だれが高い受講料を払って、予備校なぞにいくか!?来年は二度とこの会場にはこないと、自分に言い聞かせました。後は、当然のように基本書の読み返しです。もうこの時点で、気分はスッキリしています。
さぁ、本番会場に入りました。おやっ、会場が狭い。席が50人ほど。前年まで300人は入りそうな大会場だったため、このときは人数に圧倒されることはなかったです。指定の席に着くと、しばらくして試験監督員の「はい、指定された筆記道具等の以外のものはしまってください」の声。私は静かに目を閉じました。この約10か月の日々が走馬灯のように脳内をフラッシュバックします。まるで往年の大河ドラマ「黄金の日々」のオープニングテーマが、流れている気分です(スイマセン。一定の年齢以上の方しか・・・・)。会場はシーンと静寂の時間が続きます。「ハイ、始めてください」。私は右手に鉛筆を持ち、戦場へと駆け出しました。
180分後。「はい、筆記道具を置いてください」。あぁ、終わった。もし、不合格なら来年も・・・・??結果はギリギリ合格(写真参考)。あの苦しくも、自分の内面と真正面から向き合った毎日。生きていくためとはいえ、40歳も半ばにして、脳の柔らかな年代と法律で競い合う試験に挑み、勝てる可能性は低いと言えるでしょう。しかし、突破できました。これだけは断言できます。最終目標は行政書士試験合格ではなく、開業又は資格を生かせる職業につき、法律家として社会に貢献することです。
余談ですが、50人ほどの会場で、ナント合格したのは私だけでした。残りの49人は不合格。やはり、行政書士試験は難しいと実感しました。会場に行けば、全員が頭がいいように映ります。幻影です。この会場でオレ(私)が一番勉強した!!合格するのはオレ(私)だ。そう思える自分がいるかいないか!?発明王・エジソンは「99%の努力と1%のひらめき」と名言を残しました。発明王でさえ、成功するのに99%の努力の末、数えきれないほどの発明を生み出したのです。凡人のオレ(私)がエジソン以上の努力をしなければ、合格率約10%の行政書士試験なぞ受かることはできません。
最後にその年の難易度によりますが、1%の幸運を引き寄せることも必要です。私の場合、4年目に微笑みました。今年、このブログを読み参考にして勉強された受験生の皆さんの本番での健闘を心から祈っています。未来のライバルたちへ!!行政書士業の世界で待ってます。
元ブンヤの行政書士