行政書士試験独学13回目。「令和3年度試験問題の出題予想がどれほど的中したか?」(後半)です。前半は基礎法学から会社法までの択一40問(160点)を肢ごとに分析・検証してきました。どんな感想を持ちましたか?8割取れていれば、確実に合格に近づいています。前半の的中率の平均は約55%。平均の得点では、合格は遠ざかります。まだ挽回のチャンスは残されています。それが後半の記述と一般知識です。多肢選択と併せて、分析・検証を続けます。
多肢選択【問41/裁判員制度(判例)】「裁判員制度の合憲性」(的中/基本書・判例六法下線あり)【問42/行政上の強制手段(行政法総論)】用語の意義・定義を問う(的中/基本書あり)【問43/不利益処分(判例)】「一級建築士免許取消事件」(的中/基本書・判例六法下線蛍光ペンあり)
記述【問44/行手法(行政指導)】(外れ/基本書あり)条文は36条の2第1項(中止等の求め)【問45/債権の譲渡性】(外れ)条文は466条3項【問46/不法行為(土地工作物責任)】(的中)条文は717条1項但書き(判例六法注意書きあり)
一般知識【問47/五輪の歴史】(外れ)1、ベルリン大会はナチスが開催・2、ロンドン大会は、日本不参加・3、??・4、モスクワ大会は日本ボイコット不参加・5、??【問48/コロナと政治】(外れ)1、新規法律は規定されていない・2、緊急経済対策が決定された・3、都道府県知事による外出許可は必要ない・4、首長らの同居親族へ優先接種の事実はない・5、命令や過料の制度化【問49/公的役職の任命】(外れ)㋐内閣法制局長官は内閣総理大臣が任命(内閣法制局設置法)㋑日本銀行総裁は両議院の同意を得て内閣が任命(日本銀行法)㋒検事総長は最高裁の推薦に基づき内閣が任命(検察庁法)㋓NHK経営委員は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命(放送法)㋔日本学術会議会員は、同会議の推薦に基づき内閣総理大臣が任命(規定法令不明)【問50/ふるさと納税】(外れ)㋐住民税は納めない㋑住民税・固定資産税は対象としていない㋒減収分につき補填制度あり㋓一定の割合で返礼品の提供㋔国は、ふるさと納税の対象自治体を指定【問51/国際収支(経済)】(外れ)難しいので無視【問52/エネルギー問題】(的中)㋐日本の再生可能エネルギー割合㋑原油・天然ガスの輸入㋒パリ協定における日本の目標設定㋓コロナによる原油価格の高騰の事実はない【問53/先住民族】(外れ)1、アイヌ新法・2、国立アイヌ民族博物館・3、先住民族世界会議の開催・4、カナダ首相が公式謝罪・5、マオリはNZ、アボリジニはAUSの先住民族【問54/ジェンダー・セクシュアリティ】(外れ)1、LGBТの意味・2、日本の女子大学の性同一性障害受入・3、米国の同性婚許容の判決・4、自治体のパートナーシップ制度の導入・5、台湾の同性婚制度の立法化【問55/顔認識・顔認証】(外れ)①表情②本人確認③生体情報④個人情報保護法⑤プライバシー【問56/自動運転化の水準】(外れ)1、レベル1・2、レベル2・3、レベル3・4、レベル4・5、レベル5【問57/国の行政機関の個人情報保護法】(外れ)1~5全くのノーマーク【問58~60】は省略
では、早速、的中率を肢ごとに検証します。
【多肢選択】(12/12)*的中率100%
【記述問題】(3/1)*的中率33%
【一般知識】(11/1)*的中率10%(*こんなものです)
(*文章問題は除く)
【後半の分析・総評】
いやぁ、参りました。多肢選択を解いてみると、意外に間違えました。( ´艸`)【問41】は判旨が長いので、じっくり読込をしていれば楽勝でした。【問42】は用語の意味を的確に把握しているかが問われています。一問一答形式に惑わされずに、基礎知識で解けます。【問43】は有名判例。過去問・基本書・判例六法に出まくりです。正解して当たり前。
記述問題。【問44】は行手法の行政指導の中止等の求めです。正直、ノーマーク。でも、2014年の改正点が問われています。問題を読めば、行政指導に該当することは、受験者ならすぐに分かる。この記述問題のキモは、「A大学は、だれに対して、どのような手段を取れるか?」の「だれ」かです。行政機関の定義が問題になり、その職員の定義は学説が対立しています。つまり、【文部科学省】or【文部科学大臣】のどちらでもイイと思います。多数説(少数説)は【文部科学省】を取ります。あとは採点基準次第といったところ。残りは書面で申し出れば・・・一丁上がりです。
【問45】は改正点で債権譲渡性の問題です。私の基本書(改正前)には記載はないので、白紙の状態。改正点とはいえ、こんな条文を試験問題として作成してくるとは思いませんでした。ここで慌てた受験生もいたことでしょう。こんな場合は、素直に問題文を熟読することです。債権譲渡に制限がかかると、その効力が妨げられる性質も持つことを理解しているのが前提です。ブログで紹介した通り、図・イラストを素早く自分なりに描いて下さい。つまり債権者Aは債権譲渡禁止特約があるにもかかわらず、第三者Cに債権を譲渡。Cは譲渡代金をAに支払い、AはBに譲渡につき通知(到達)。新債権者Cは債権履行後にBに履行を請求した、という状況です。
債務者Bが新債権者Cの請求を拒める要件は何?ということ。当然、だれに悪意、重過失があるかを考えますよね。悪いのはAなのですが、この時点で債権は既に譲渡されているので(当事者間では債権譲渡は有効)、Aは関係ありません。債権者はCで、債務者はB。ということはBが債務の履行を拒むことができる要件は、Cに不利な要件がそろう必要があるのです。不利な要件と言えば、悪意と重過失の二つしかありません。つまり、Cが(A・B間の)本件代金債権の譲渡制限の意思表示を知っていれば・・・悪意。又は重過失。これで骨格はできました。後は作文です。当該条文を思い出せなくても、条文の成り立ち具合を押さえておけば、記述も恐れるに足らずです。
【問46】は不法行為の土地工作物責任の所有者責任です。前半でお知らせした通り、的中した記述問題はコレ。写真(判例六法)にズバリ「記述対策!!特に但書き」が映っています。不法行為は記述問題で事例が作成しやすいのです。ブログの初回で記述問題の取り組み方を公開しました。あの方法を地道にコツコツと実践していれば、この問題は楽勝でした。加えて、不法行為の択一対策も着実にこなしていれば、しめたもの。
つまり、Bが最初の責任を負うが、損害発生につき防止するのに必要な注意をしていたときは、所有者Aがその責任を負う。後は作文と字数を数えるだけ。実際やってみましょう。えぇーっと、削るのは「最初の」と「所有者」。で、「Bが責任を負うが、損害発生につき防止するのに必要な注意をしたときは、Aがその責任を負う。」(44字)。満点!!
一般知識【問47】は五輪の歴史。知らねぇよ。ただ、正解肢は一定の年代以上(50代)には簡単でした。でも、私が推奨してきた年表を眺めていれば、必ず日本・モスクワ大会ボイコットで不参加が載っています。【問48】はニュース・新聞の知識で十分解ける。【問49】は少し難しい。でも、私がブログで横断的な法令条文が問われることを指摘してきました。網羅的に関連法令が載っている判例六法の使用を勧めるのは、こういう問題が出たときのためなのです。加えて㋑は野球でいうファールチップ(基本書に記載あり)。【問50】は時事ネタ。【問51】は経済用語で、具体的に+/-を聞いている。捨て問です。【問52】は基本書と常識で解ける。【問53】はラグビー経験者ならスーパーラッキー。NZ、AUSの先住民族を知らないわけがない。【問54】は時事問題。【問55】は常識で解く。【問56】は自動運転化に関するもの。これまでの問題に共通しているのは、単なる知識ではなく時事ネタや社会の変容にいかに関心を持っているか?の観点にたっている気がする。それでも、基本書等に記載されている知識の重要性は変わらない。【問57】は個人情報保護関連。時間がなければ、捨て問と判断してもよい。【問58~60】はやさしい。
【前半・後半を通じての講評】
私も問題を手に入れて、早速解いてみました。2年ぶりの本試験問題。【問1】から面食らいました。いきなりムズイ。なぜ刑法の論点・知識が行政書士試験で問われるのか?受験生を一発目でガツンと張り倒したいのか?続けて憲法。【問3】も、また~、予防接種禍訴訟ですか?これは憲法というより国賠法と損失補償の谷間問題です。サクハシ本に詳しく載っています。憲法と感染症問題を絡ませ、受験生をカオスに陥れている。ムム、もしかして行政法の初問も・・・??【問8】はそうでもなかったです。ほっ。行政法は全問正解も視野にできるほど、やさしく平均的。さてさて、民法はどうかな?【問27】は受験生も見たことがない判例が肢1に。ここでも受験生の出鼻をくじく作戦ですか?【問29】は物権的請求権(判例)。しっかりと基本書・過去問・判例六法+専門書・判例集に取り組んでいれば、こわくない。ただし、時間がかかるのが難点。【問31】は損害賠償の範囲や期間等が問われていますが、単純に条文・判例を思い出してほしいところ。【問32・34・35】は改正点。準備さえ怠っていなければ楽勝です。
商法【問36】は正解を絶対死守する。会社法はあまり触れたくないのですが、【問37】は株式会社の責任に係る責任等。最重要項目の一つで、正解したいところです。残り3問はムリ。諦めも必要なことを実感する。多肢選択は満点を目指す。記述は60点中40点は取れる。一般知識は40点を目途に頑張るしかない。総合的に難易度をランク付けすると、【基礎法学/普通】【憲法/やや難】【行政法/普通】【民法/やや難】【商法・会社法/普通】【多肢選択/やや易】【記述/普通】【一般知識/やや難】。
さて、合格確定の受験生は今後、開業準備や事務所に就職する予定の人もいるでしょう。合格不確定の人は、来年も受験するか迷っているはず。私もこのタイプでした。合格?不合格?と。来年1月まで不安との戦いです。私は結果が分かるまで何もしませんでした。
来年、再挑戦を決めた受験生の皆さんは、「来年は絶対合格する」信念をここで固めてください。自分に負けない、私のブログを信じてほしい、他人に惑わされない。自分を信じる。「信は力なり」。大好きな言葉です。ラグビー日本代表の元監督・大西鉄之祐氏がテストマッチ直前、選手に訓示した言葉です。相手はデカい・ハヤい・ツヨい。自分を信じてこそ、絶対的なプレーができる。仲間を信じる。その局面・場面で最高のタックルをする・パスする・キックする・走る。だれかがミスをしても、だれかがカバーする。そして最後に勝って、笑う。どんな監督でも「グラウンドで戦うのは選手。勝ったら、選手を褒めてください。負けたらグッドルーザー(よき敗者)であれ」と願っている。来年の試験で戦うのはアナタ自身。合格したら、自分を褒めてほしい。家族や友人、パートナーとして支えとなっていたら、褒めてやってください。絶対、合格しましょう!?
私も再び、走り出します。行政書士試験①から随時見直しを行い、来年の試験対策としてより精度の高いブログへと再編していきたいと思っています。基本線は変わりません。今年ダメだった独学者の皆さんは、何がよくなかったのか?何に確信が持てかを探って答えを出してから勉強を再開しても遅くはありません。合格できるよう最大の努力をお願いします。独学者を応援します。私も頑張ります。
独学者の来年受験確定者へ次の言葉を贈ります(プロレス好き)。
プロレスラー・アントニオ猪木の有名な言葉から(*出元は一休和尚です。・・・ということは、アントンはパクリ犯)。
この道を行けばどうなるものか
危ぶことなかれ、危ぶめば道はなし
踏み出せば、その一歩が道となる
迷わず行けよ
行けばわかるさ
さぁ、きょうから、このブログを読んだ瞬間からその一歩を踏み出そう!!
元ブンヤの行政書士